太 陽                                                     

 スペクトル型 G2型の主系列星
 直径: 1,392,000 km. (地球109個分に相当)
 質量: 1.989e30 kg (地球33万個分に相当)
 中心核の温度: 15,000,000 K. :中心圧力2500億気圧
 表面温度: 5800 K
 比重:1.41(地球の1/4)
 実視等級 −26.8等級  絶対等級 +4.7等級
 視半径 15′59″.64
 組成:水素約75% ヘリウム約25% その他(金属)約0.1%

 



 太陽は、地球をはじめとした惑星や、小惑星、彗星など多くの天体が属する太陽系の中心で輝く恒星で、その赤道半径は69万6000kmと地球の約109 倍、体積は130万倍になります。地球からの平均距離は約1億4960万kmで、これは1天文単位(AU)と定義され、太陽系の距離スケールに用いられています。太陽より、発生する光と熱は、地球の生命を育む源であり、私たちの母なる星ともいえます。また、最も近くにある恒星として、恒星物理学の分野でもたいへん重要な研究対象となっています。太陽の領域は、太陽の中心に半径100AUの距離に広がっている繭の形を中心とした宇宙空間です。

太陽とは

 ふつう、地球から可視光で見えるのは光球と呼ばれる部分で、その表面に黒点、白斑、羊斑、粒状斑、紅炎、フレアなどの現象が見られます。また、太陽光球の外側は彩層とコロナが取り巻き、皆既日食のときに明るい光球が隠されるとその存在が確認できます。太陽は自転していますが、赤道付近は27.0日、両極30日と速度は違っていおり、太陽表面が流体であることの証拠の一つと考えられます。太陽は、核融合によりエネルギーを得ています。
 太陽の自転軸は地球の公転面に対して約7°傾いています。

中心核の核融合
 太陽の中心部は、高温度(1500万度)、高密度のため原子の電子がはぎとられ、陽子と陽子がぶつかりあい、次々に衝突し陽子4個のヘリウムとなります。この時に質量減少が起きエネルギーとなります。陽子+陽子=重水素、重水素+陽子=トリチウム、トリチウム+陽子=ヘリウムとなり、各段階でガンマー線、ニュートリノが発生します。詳しくは、恒星ページ”恒星の核融合反応”の項参照


光球(photosphere)
 厚さ約500kmの大気層で、私たちが光として見る太陽の表面です。温度は約6000℃です。この中では、巨大な磁場である黒点や爆発現象であるフレアのような活動が起こります。
 





彩層(chromosphere
 厚さ1〜1万5000kmの、コロナと光球の表面に挟まれている大気の下層部でです。光球より光が弱いため通常は肉眼では見ることはできないが、皆既日食のときにはアーク状に赤く輝いて見える。彩層からコロナに向けて噴出するプロミネンス(紅炎)は、彩層の中の爆発現象です。彩層の外側に細かなひげのような突起物がでていることがあります。これは、太陽面から流れ出すガスであり、スピキュール(spicules)と呼ばれます。

黒点(sunspot) 
 太陽の表面に見える黒い斑点で、強い磁場によって形成されます。磁場は0.1T(テスラ)を超えており、太陽内部からわき上がってくる対流を妨げているため温度が低くなります。、太陽表面の温度はおよそ6000度ですが、黒点の温度はおよそ4000度くと低くなり、見かけ上黒く見えています。当然磁場ですから、黒点もS極とN極が分布しています。N極は、太陽の内側から外側へ飛び出し、S極は外側から内側へ戻っています。
 黒点の形はさまざまですが、中央の黒い部分を「暗部」、周辺の淡い部分を「半暗部」といい、チューリッヒ分類によって分けられます。黒点の出現数は黒点相対数で示され、太陽活動の変化によっておよそ11年の周期で増減し、活動が活発な時期には黒点の数が多くその規模も大きくなります。
 現時点でも @黒点はなぜ安定に存在するのかA黒点はどのように崩壊するのかB黒点暗部、半暗部ぼ微細構造の起源等がわかっていません。


小黒点(ボア):半暗部を伴わない小さな黒点
ライトブリッジ:磁束をばらばらに分割していく現象。暗部に比べ明るく帯状であり、対流による熱輸送が働いており周辺に比べ明るい。
暗部輝点:暗部に比較的明るい小さな領域 ライトブリッジへ成長するものもあり

 「ひので」に搭載されているX線望遠鏡、極端紫外線撮像分光装置により彩層上空の数百万度のコロナを、可視光望遠鏡が観測する光球、彩層と同時に観測できます。下図は、 X線望遠鏡で見たコロナと可視光望遠鏡で得た光球の磁場を示しています。磁場のN極(白)とS極(黒)をつなぐコロナのループ構造をはっきりと見ることができます。活動現象のエネルギーの源である光球の磁場変化と、エネルギーの解放の現場となるコロナの変化の関係を調べることにより、活動現象が起こる仕組み、コロナ加熱の謎解明が期待できます。(「ひので」の観測結果より、『国立天文台 JAXA提供』)


半暗部の形成
光球と彩層部分のガス流や磁場の観測から、小黒点の磁場が上空で広がって円環状の構造となり、その広がりが光球に下がってきて「半暗部」として現れることが推測さます。




黒点相対数(Zurich sunspot number)
 黒点の活動状況を表す指標です。黒点相対数R=k(10g+f)で表します。f:黒点の総数、g:チューリッヒ黒点群の数、k補正値。チューリッヒ分類 (Zurich_relative_sunspot_number)は、黒点の形態に基づく、黒点群の分類です。チューリッヒ天文台の台長であったウォルフ氏によって1849年に考えだされたもので, 最も単純な単極構造を持つ黒点群をA群として、順次複雑な構造を持つ黒点群をB−J群まで分類します。

太陽の活動周期と磁場の反転(*1)
太陽の活動周期である11年は磁場の逆転の周期と同じです。活動が弱まると、黒点の数、フレア発生数とも少なくなってきます。また、黒点は赤道付近に現れます。また、07年12に、今までの磁場では北半球では横にSNと並んでいましたが磁場が逆転する現象が見られ、08年1月4日に中緯度の黒点が現れ24期(*3)が始まりと思われましたが、その後、長く低活動期が続き活動極小期(*2)に入っているかと思われました。しかし、2011年には活動が盛んになり24期に入ったと思われ、活動極小期には入りませんでした。
 活動のサイクル 

 太陽には表面付近と内部を行き来するループ状コンベアベルトのプラズマ流が存在します。表面に現れて時間が経過し勢いの衰えた磁場がコンベアベルトにのって極付近で内部にもぐりこみ、表面下30万kmで磁気ダイナモにより再び勢いを得て赤道付近の表面に現れます。これが太陽の活動1サイクルとなります。

(*1)地場の逆転

 磁場逆転の要因は、コロナ質量放出(CME)で磁気を帯びたガスが1000回以上も繰り返し大量に放出されることによって、太陽の古い磁場と新しい磁場の位置が逆転します。コロナ質量放出は、太陽自身によるかなり手の込んだ掃除といったところで、黒点などによって作られ乱れた磁場を外に掃きだす作業に相当します。春の大掃除とでも言うべき一大イベントは、黒点の数がピークに達する11年に1回というサイクルで起き、大掃除終了後には、太陽の磁場の南北が完全に入れ替わってしまいます。


(*2)活動極小期
 太陽の黒点が著しく少ない時期を示します。1913年にも無黒点日が311日続いた記録があります。過去(1645〜1715)の極小期は、マウンダー極小期と呼ばれ、小氷河期としられている時期と重なり
この時期の寒さは厳しかったことが知られています。

(*3)
「第24活動周期」 太陽の活動周期は、1755年に始まった周期を「第1」として、それぞれ番号が振られています。
下記の図は、100年の太陽の活動周期グラフ。青い曲線が黒点数の増減、赤い棒は黒点が全くない日数を表します

(提供:Dibyendu Nandi et al.)
2012/4  国立天文台より
最近少しずつ活動が活発化してきている太陽。衛星「ひので」が両極域の磁場を観測したところ、北極の磁場はほとんどゼロの状態に近づいていることが発見された。北極磁場は間もなくマイナスからプラスに転じると予想される一方、南極磁場は変化を見せておらずプラスのままであることもわかりました。太陽の磁場は通常、大局的に見ると双極子構造(たとえば南極がプラスで北極がマイナスの棒磁石のような構造)をしています。しかし、今回の観測結果から考えると、近い将来の磁場は南北の両方がプラス極になる四重極構造になると予想され、活動極小期に入るかもしれません。



プロミネンス(prominence)

 太陽の表面のガスが、数千〜数十万キロメートルの高さに吹き上げられたもので、皆既 日食の時に、太陽の周囲に赤い炎のように見えることから「紅炎」とも呼ばれています。彩層からの磁力線が沿ってプラズマが飛び出しプロミネンスになるものや、コロナからのガスの落ちてきてプロミネンスにとなるもがあります。現象から二つのタイプがあります。
静穏型
あまり変化もせず、寿命の長く、ヘルメットストリーマ(コロナ中の密度の濃い領域)の中のプロミネンス(浮かんでいる)は典型的であり、消滅まで数ヶ月要することもあります。
活動型
数日から数分で消滅してしまいます。


コロナ(crona)
 コロナは、100 万〜200 万度もの非常に高温のためガスが電離して非常に希薄です。その明るさは太陽の100 万分の1しかなく、ふつうはコロナグラフでなければその姿を見ることができません。コロナがこれほど高温に過熱されるメカニズムは、完全に解明されていませんが、磁気が関与していることは確実です。
現在、二つの仮説が考えられています。
@ ナノフレア仮設
  ナノフレアと呼ばれる小さな爆発が何百万回も起き、コロナを加熱していると考えます。コロナの磁束管が交差し、つなぎ替えを起こしエネルギーが放出され、ナノフレアを引き起こすと可能性があります。普段のフレアは、コロナの高温を説明するにはエネルギーが足りない。
A 磁気波仮説
  コロナのループ中を”アルヴェン波”という磁気波が伝わっていると考えます。ループの二つの基部から発した波が相互作用し、一部のエネルギーが放出する可能があります。 


コロナの種類
 @Kコロナ
   自由電子の散乱によるコロナ、自由電子は主に太陽の水素ガスから供給され、太陽の活動と密接な関係に ある。ドップラー効果により、フラウンホーファー線(*3)のない連続スペクトルとなります。
 AEコロナ
  電離した物質が発光したコロナ、太陽の散乱光ではなく、みずから発光しています。輝線コロナと呼ばれ、特有の輝線が現れます。この輝線は、鉄の原子が電子を9個失った時に発生する光であり、この状態になるには100万度の温度が必要になります(13個失うと200万度)。 このことから、コロナの加熱問題が出てきました。但し、可視光コロナの輝度の1%しか占めません。
 BFコロナ
  惑星間塵の散乱によるコロナ、比較的重い低速の固体粒子が散乱するため、太陽光と同様なフラウンホーファー線を示します。 この塵は、太陽の周りを回っているが太陽の光圧により徐々に太陽に向かって落ちていき一定の場所に落ち着くと考えられています。

(*3)太陽光の可視光スペクトルのなかに暗線として観測されます。太陽の上層に存在するいろいろな原子や地球上の大気中の酸素などによって吸収されたスペクトルです。

 コロナ質量放出(CME、Coronal Mass Ejiection)
 1971年アメリカのOSO−7衛星により、コロナの一部が惑星間空間へと放出する現象(CME)を発見しました。CMEの活動起源は、ループ状構造の磁力線の形を表していることから、太陽の極付近から10億トン級の質量が秒速数百キロメートル〜2000キロメートルというスピードで磁化したプラズマが太陽から放出する現象です。CMEとプロミネンスは基本的に同じ現象です。



                                             NOAA提供


コロナルホール (coronal_hole)

 プラズマの運動は磁場の形状に支配されています。コロナルホール は、コロナ中で、磁場の構造が開いていて、惑星間空間に広がっていると考えられている場所のことをいいます。このため、プラズマは閉じこめられず、高速の太陽風となって吹き出すので、密度は他の領域に比べて極めて低くなっています。したがって、高温プラズマのX線放射としては穴として見えます。


フレア(flare)
  フレアは黒点周辺で発生します。黒点付近では、単純な磁力線だけでなく、複雑な黒点では磁力線が絡み合い強大なエネルギーを蓄えます。複雑な磁力線では、磁力線のつながぎかえという現象が起き、磁場の構造が急激に変化し、蓄えられたエネルギーが放出されます。これがフレアです。
 フレアによって、太陽から放出される紫外線により電離層が乱れデリンジャー現象(*4) が発生、続いて高速のプロトンが粒子が太陽放射線としてやってきて人工衛星に障害を起こします。続いて高速の太陽風が襲い、オーロラ、北極光、磁気嵐 (magnetic_storm)、などを引き起こします。 


(*4)デリンジャー現象 (Dellinger_phenomenon)
短波の受信強度が突然低下する現象で、10分から数10分継続します。



その他現象
 粒状班(granule)
 光球面にわたって多数存在する米粒状の小斑点のことを粒状斑といいます。平均直径は約1000kmで、数分程度の寿命で消滅します。周囲より300Kほど高温で、太陽光球表面の激しい乱流運動を示します。この粒状斑によって内部の熱が光球面まで運ばれています。

 白斑(facula)
 光球面で周囲より100Kほど温度が高く、とくに明るく白っぽく見える斑点を白斑といいます。太陽周辺部の暗いところでよくめだつ。極付近に現われるものと、黒点帯に現われるものとがあるが、後者の方が面積も大きく寿命も長いものが多い。白斑は光球上層部で起きる現象で、黒点のような磁場による熱放出の抑制がないので、内部の高温領域が明るく見えていると考えられています

 羊班
 太陽面に見られる細かい明暗の模様のことをいいます。水素のHα線や、カルシウムH・K線などの単色光で観測されます。

 太陽風(solar wind)
 太陽は地球の公転軌道面に対し、自転軸を7度傾斜させて左から右へと回転しており、動きは一様ではなく、赤道付近が速く動いています。このため強力な磁場が生じて猛烈な太陽風が発生します。太陽風は陽子や電子のような電気を帯びた粒子(水素原子が主成分)の高速の流れで、秒速900kmの速度で太陽から吹き出しています。

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